知床大自然紀行
(1997.7.18〜7.22)


7.18
高田馬場−(山手線)−渋谷−(地下鉄)−新木場−(バス)−東京港FT−(フェリー)−
7.19
−(フェリー)−
7.20
−(フェリー)−釧路FT−(バス)−釧路−(釧網線快速)−斜里−(バス)−カムイワッカ湯の滝−(バス)−岩尾別
7.21
岩尾別−(車)−羅臼岳登山口−(徒歩)−羅臼岳−(徒歩)−羅臼岳温泉−(バス)−斜里−(釧網線)−北浜
7.22
北浜−(釧網・石北線)−美幌−(バス)−女満別空港−(ANA412)−羽田空港−(モノレ−ル)−羽田−(京急)−京急蒲田−(京急線特急)−京急久里浜

  


◎同期との初の旅行

 今回の旅行は会社の同期T君との初の旅行である。会社の休みの関係上、なかなか同期と一緒の旅行ができなかったが、今回は祝日で連休が重なったため、実現できた。2人とも北海道が好きだったので、前々からこの旅行を楽しみにしていた。


◎会社から直行でフェリーターミナルヘ

  フェリーの出航時間が23時と遅かったため、会社から直行することにした。これから約30時間船に乗りっぱなしになるので、途中で酒や食料などを買い込みフェリーターミナルヘ向かった。新木場駅からフェリーターミナルまでのバスは終わるのが早いので、なるべく早めにでた方がよいだろう。(私たちは新木場駅近くの飲み屋で早くも一杯やってたので、危うく乗り遅れそうだった。)フェリーは東京から釧路までの近海郵船のフェリーを利用した。料金は何とJAFの会員だと1万円を切る!(ただし繁忙期をのぞく)これを使わない手はないだろう。


◎船上にて

 さすがに30時間もの間過ごす船だけあって、中の設備はとても充実している。売店や食堂、レストランなどもあるし、ゲームセンターや自動販売機、浴場などもある!これは退屈しないですみそうだ。私たちは2頭寝台を選んだが、2等寝台と2等一般(カーペットの上でザコ寝)と料金は同じである。自分の好みで選ぶと良い。早速私たちは寝台に荷物を置いて、夜景の見える窓際のベンチへ、ウィスキーを持って行った。夜景を見ながらの一杯は格別であり、結構酒が進む。船の揺れがまた心地酔いを誘い、気分はもう最高!しばらく会社を休んでここにいたいと思ってしまった。(しかし現実はそう甘くない)一眠りして、翌朝、甲板に行くと陸地ははるか彼方だった。もう結構進んだかな?と思ったらまだ福島県の手前ぐらい。本当に明日着くのかなとちょっと不安になってしまった。甲板では涼しい風が吹いていて、とても気持ちがよい。開放感に浸りながら過ぎて行く時間を満喫した。

甲板にて
甲板上で夕陽をバックに

◎いよいよ北海道へ

 翌朝の釧路着は結構早かった。早速船を降り、バスで釧路駅へ向かう。北海道の朝は7月とはいえ結構寒い。釧路駅では結構時間が余っていたのでゆっくりする。ここから釧網本線で北上し知床の入り口である斜里に向かった。沿線には釧路湿原が広がり、北海道の大自然の豊かさをうかがうことができた。3時間ほどして斜里に到着。ここからバスでいよいよ知床に向かうことになる。

釧網本線

釧網本線

◎カムイワッカ湯の滝

 斜里から知床半島の沿岸沿いを走り、ウトロ経由でカムイワッカに向かう。知床五湖あたりから未舗装の道路に入り、大型バスは揺れながら走る。しかしよくもまあこんな道を大型バスが走れるもんだ。途中行き違いのできないような細い道もあった。運転手は大変だろう。しかし不安は的中した。カムイワッカ湯の滝付近に近づくと、乗用車が多数路駐してあった。カムイワッカには駐車場がないため、こうやって狭い道に路駐しているのだという。そのためこの先バスが進めないので降りて歩いてくださいといわれてしまった。もうすぐそばだったので、仕方なく10分ほど歩くことにした。程なくカムイワッカ湯の滝に到着。しかし聞いていたのと裏腹に観光客でごった返していた。よくまあこんな所までこれだけの人が来るもんだ。それだけ魅力的な観光地なのだろう。しかし、それにしてはただ普通の滝が流れているである。実は、カムイワッカ湯の滝というのは、この滝を20分ほど上っていったところにあるという。そんなことも知らず、荷物を持ったまま来てしまった。でかいリュックを背負いながらここを上るのはつらいだろう。しかしせっかく来たのだからと登ることにした。靴も普通の運動靴だったので足下が滑ってしょうがない。また途中に崖みたいな所もあり、この状態で登るのは危険だと思い泣く泣く断念した。T君はそれでも登りたいと行ったので、荷物を預かり写真を撮ってくるよう頼んだ。上から戻ってきたT君は「よかった」を連発していた。私も行きたかったがしょうがない。次回の楽しみとするか。(湯の滝入り口付近は荷物預かり所などといったものはないので、個人旅行者はホテルなどにいったん荷物を置いてから来ることをおすすめする。)

カムイワッカ湯の滝

カムイワッカ湯の滝にて


◎岩尾別での夜

 この日の宿泊は岩尾別にあるユースでだった。ここは完全な一軒宿。周りに家などはない。結構宿泊している人がいて、部屋のベッドはほとんど埋まっていた。とてもうまかった夕食を食ったあと、夜のミーティングに出席。明日いろいろなツアーが催行されるのでぜひ出で見ては?というものだった。T君が突然、「羅臼岳登山ツアーに参加しないか?」といってきた。登山準備など全然してきていないのでそれは無理だろうと思ったが、T君に説得され、行くことになった。こういう経験は知床でしかできないと思い、思い切って参加することになったものの...さらにこのあと、夜景見学ツアーに参加した。ユースのバスで知床五湖付近まで行き、そこで下車して夜景を楽しむというもの。もちろん付近に民家はないのできれいな夜景を期待していたが。あいにく曇っていたのであまり星は見えなかった。しかし周りはとっても静かで、耳を澄ましても何の音も聞こえない。こういう経験は初めてだった。


◎羅臼岳登山

 翌日は朝早く起き、ユースの車で羅臼岳登山口へ向かった。私たちのほかに10人ほどの参加者がいた。ツアーといってもガイドがついてって案内するものではなく。登山口から自分たちで登っていくといったものだった。入り口の登山名簿に記帳し、いよいよ羅臼岳山頂に向かって出発する。所要時間を聞いたら何と5時間!しかも道は結構急である。30分としないうち息が切れてしまった。普段の運動不足さがありありとわかった。しかしここでやめては来た意味がない。T君に励まされ、ゆっくりでもよいから登ることを決意する。2時間ほど歩くと、突然前方が開け、展望台のような所に着いた。ここからの景色は...絶景だった。こんな景色見たことがない。知床の大自然とオホーツク海が一望できた。さらに登ると、わき水がでているところにでた。すでに汗だらだらでのども渇いていたので、ここの水のうまいこと。さらに上を目指す元気が出てきた。3時間半ぐらい登ると、道の脇にちらちらと雪が残っているのが見えた。だいぶ登ってきたみたいだ。その先には...スキー場のような雪の傾斜が広がっている(雪渓というらしい)。昨日と同様、荷物を持っていた私たちにとってこの雪渓を登ることはとても危険だった。(このあとユースに寄らず直行で帰ろうと考えていたので、荷物を持ったまま来てしまったのだ。重い荷物を背負ってここまで来ただけでも奇跡だったのだが。)仕方なく、雪渓脇の木陰に荷物を放り投げ、身軽な状態でさらに上を目指すことになった。しかしここはとても滑りやすく、越えるのに1時間以上かかってしまった。しかしT君は荷物を持ったまま登っている。ほんとT君のタフさには敬服するばかりだ。雪渓を越えると、広く開けたところにでた。高山植物が生い茂り、見たことのないような花が咲いている。オホーツク海や遠くには国後島を望むこともできた。本当に北海道の大自然を実感した。さらにここから急な道を登ろうとしたが、足が動かない。すでに私の足には限界が来ていたようだ。頂上まであと1時間。せっかくここまで来たのだからと思ったが...泣く泣く断念することになった。T君の荷物を預かり、頂上の写真を撮ってくるように頼み、わたしはいずみの脇の開けたところで待っていることになった。とりあえず足をマッサージして、このあとの下山に備えた。しかしここはすばらしいところだ。いずみの脇の草むらに寝転がり、うたたねした。このままここで時間が止まってくれれば...1時間半ほどするとT君が戻ってきた。頂上は狭かったが、そこからの景色はとてもすばらしかったという。ちょっとくやしかった。さて、このあとはのんびりしていることはできない。終バスが16時頃に岩尾別を通過するので、それに間に合うように下山しなければならない。あとは下るだけだから楽だろうと思いきや、結構大変だった。よくこれだけの距離を登ってこれたものだと、自分でも感心してしまった。何とかバスに間に合い、そのまま斜里駅へと向かった。斜里では時間があったのでコンビニで食事と酒を買って、駅で反省会。そのビールのうまかったこと。ほろ酔い気分で北浜に向かい、そこのユースで宿泊した。風呂に入って床につくとすぐに眠りに落ちた。

羅臼岳の雪渓  羅臼岳  羅臼岳

羅臼岳にて 左 雪渓と呼ばれる道をひたすら登る。 中・右 足痙攣のためこれ以上登れず。

◎北浜から東京へ

 翌日は、もう東京へ戻らなければ行けなかった。朝早く起きて、早朝の釧網線で美幌へ向かうため、北浜駅へ向かう。このえきは喫茶店をかねているらしかったが、早朝のため営業していなかった。また、オホーツク海に一番近い駅としても有名である。ここでオホーツク海に別れを告げ、美幌駅へ向かった。美幌からバスで女満別空港へ向かう予定だったが、バスがこない。どうやら美幌駅を経由しないで女満別へ向かうらしい。あわててバス営業所へ向かい、無線で連絡を取ってもらいバスに駅によってもらうようにしてもらった。間一髪。(時刻表には阿寒湖方面からのバスは美幌駅経由で女満別空港に向かうとあるが、美幌駅で降りる客がいないと、そのまま美幌駅を経由せずにいってしまうらしい。困ったものだ。)女満別空港は最近改築されたらしく、とてもきれい。JALとANAが最近東京までの新路線を就航させ話題となった。スーパーシートが残っているか聞くと、何と空席ありということ。すぐさま変更して東京までの約2時間をスーパーシートで快適に過ごして帰った。

北浜駅

北浜駅 喫茶店「停車場」併結


*あまり休みが取れなかったため非常にあわただしい旅になってしまった。しかし知床も近くなったものだ。北浜を朝でれば東京に昼過ぎには着いてしまうのだから。期間が短いながらも充実した旅になったと思う。それに今まで経験したことないことにもチャレンジできたし。1人でいったら登山など絶対しないであろうから。つらかったにせよ、非常にいい思い出になった。T君には感謝しなければならない。

 

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